【学会発表レポート】歯科医師の期待を集めるモニター診療

ICEC(アイセック)の藤江です。

先日の日本デジタル歯科学会の発表は大半がCAD/CAM関連のため、「口腔内カメラについての発表が受け入れられるのか?」と、実は少し心配でした。

しかし蓋を開けてみれば、皆さんの関心が高いテーマだったようで、多くの先生方に聴いてもらうことができました。中でもデジタル歯科学会リーダーの先生(昭和大学歯学部長)が、最前列でどの発表よりも熱心にメモをとりながら聴いていたと後で聞き、とても嬉しかったです。

指導教授からも、「大変わかりやすくレベルの高い発表でしたね。特に実際の診療ビデオを見せたのが、とても興味を引きました」と声をかけられ、ホッとしました。

 

注目の発表内容は?

今回は多くの先生方が関心を持った発表内容を、かいつまんで紹介したいと思います。

①モニター診療の概要説明
患者さんが診療台の上に仰向けになります。術者は11時~12時の位置に座り、術者の正面に設置したモニターを見ながら、左手で口腔内カメラを持って患者さんの口の中を撮影。その映像を見ながら右手で治療します。

 

②3本のビデオによる説明
1本目は、口腔内診査で実際の患者さんの口の中を撮影したもの。あらゆる角度から撮影可能で、すべての歯を見られることが理解してもらえたと思います。

特に、直視できずデンタルミラーでも見づらい「近心傾斜した半埋伏の下顎の智歯(親知らず)」が、鮮明に映し出されることは衝撃的だったのではないでしょうか。

2本目は、鶴見大学の学生に協力してもらった窩洞形成の再現ビデオ。左手に持った口腔内カメラで左上6番の咬合面にある充填物を撮影し、その映像を見ながら右手に持ったタービンで切削する実験の様子を紹介しました。

このビデオでは、カメラを一定の位置から撮影するのではなく、頬側や舌側からの撮影が可能で、水をかけながら削っても映像が乱れないことを伝えました。

3本目は、実際の歯の窩洞形成とカリエスを取り除く場面を紹介。細部まで拡大して見えるため、正確な診断や治療ができることがわかったはずです。

 

③口腔内カメラの基本撮影方法の解説

  • 口腔内カメラで撮影する時には「実際の歯」と「モニター画面上の歯」の上下左右の方向を一致させること。
  • 患者は診療台の上で完全に仰向けになり、歯科医師は患者の頭頂部の後ろに座って撮影する。その際、モニターは歯科医師の正面に設置して、患者、歯科医師、モニターの位置関係を常に一定に保つこと。
  • 構える時にカメラを左右に傾けない。カメラのヘッド部分を下方に向けまっすぐに立てること。

 

歯科医師の期待を集めるモニター診療

参加者の大半が大学所属の歯科医師だったため、口腔内カメラの使用経験者は多くないだろうと思っていました。

しかし、実際に口腔内カメラを使っている歯科医師から「口腔内カメラを患者の口の中に入れるとレンズが曇ると思うがどう対処しているのか?」など、かなり的を射た質問も出され、この学会で発表して間違いなかったと感じました。

ちなみに、「静止画の撮影だけで口腔内カメラを使う場合にはレンズが曇ることがあるが、それは冷えているレンズに患者さんの吐息がかかるから。動画を見ながら継続的に口腔内カメラを使う場合、レンズの回りのLEDライトの熱でレンズが温まっているので吐息をかけても曇らなくなる」というのが私の回答です。

座長の先生からは「口腔内カメラ、バキュームチップ、タービンハンドピースを同時に狭い口腔内に入れて操作することがとても難しそうだ。その点も含めて今後の発表を期待しています」というコメントをもらいました。

会場からは好意的な反応が多く、勇気づけられる結果となりました。

 

著者プロフィール

口腔内カメラ教育センター
代表 藤江英宏(ふじえひでひろ)

口腔内カメラを使った「モニター診療」は、口の中を撮影し、その数倍~20倍の映像を見ながら治療をする方法で、2002年に私自身が考案した新しい治療方法です。