モニター診療に変えたら腰痛が消えた?!

ICEC(アイセック)の藤江です。

一日の診療が終わった時に、疲労のみならず、腕、肩、腰などの痛みに悩んでいる方は多いと思います。歯科医にとっては職業病のようなものだから仕方ない、とあきらめてはいないでしょうか。

今回は歯科医師、歯科衛生士の診療姿勢と腰などの痛みとの関係について考えてみましょう。

一般に患者さんの口腔内を直接見ながら治療する場合、かなり苦しい姿勢をとらざるを得ないことがあります。上顎7番の治療をする場合などは、特に窮屈な姿勢になります。

最近、歯学部の学生実習の様子を見る機会があったのですが、学生さんは歯を良く見ようと一生懸命になればなるほど、無理な診療姿勢になっていました。

若いうちは腰痛などとは無縁かもしれません。しかし、たとえ良い治療ができたとしても、30年、40年と毎日長時間にわたってこの診療姿勢を続けるのは、決して望ましいとは言えないでしょう。

口の中を直接見ながら治療するときの崩れた診療姿勢。当然ながら肉体的な疲労度は高くなる。

正しい姿勢を保つ水平位診療

1960年代から日本に在住していたアメリカ人歯科医師ドクター・ビーチは、「水平位診療」という診療システムを提案しました。このシステムは歯科医師が椅子に座って、常に正しい姿勢を保ったまま診療する方法です。

特徴は上顎の前歯の舌側面や臼歯部は口腔内を覗き込まずに、デンタルミラーで見ながら診療(ミラーテクニックと言われる)するところ。

水平位診療はほとんどの治療において10時~12時の位置に座ったまま、診療姿勢を崩さずに行うことができるので、歯科医師の肉体的な負担が少なくなります。

現在でも多くの歯科医師が取り組んでおり、歯科医師、歯科衛生士向けのセミナーも定期的に行われています。私も数年間、熱心に水平位診療に取り組んでいた時期がありました。

私の経験をお話しすると、一般的な治療スタイルで口腔内を直接見ながら治療していた大学卒業後の3年間は、肉体的に大変疲労感があり、1日の診療が終わるとぐったりしていたのを覚えています。しかし、あるきっかけで水平位診療に切り替えてからは、診療姿勢に無理がないため、肉体的な疲労が随分と少なくなりました。

 

水平位診療とモニター診療の相違点は

モニター診療の基礎となる技術は水平位診療です。そのため、水平位診療とモニター診療には診療姿勢や診療方法に共通点がたくさんありますが、モニター診療時の歯科医師の姿勢は、水平位診療よりもさらに楽で自由度があるのです。

水平位診療で上顎の臼歯部をミラーで見るためには、かなり下方に視線を向ける必要があります。その姿勢は口腔内を直視するよりもはるかに楽ですが、長時間にわたって診療姿勢を一定に保つ必要があるため疲労感は否めません。

一方、モニター診療の場合は、歯科医師の視線はモニター画面を見るだけですから、姿勢を一定に保つ必要もありません。そのため、疲労しにくいわけです。

さらに言えば、水平位診療では多少、前傾姿勢をとるため腰に負担がかかります。それに対してモニター診療では前傾しなくてもすべての歯面をモニター上に見ることができるため、腰には負担がかかりません。おかげで、私はモニター診療に取り組むうちに長年苦しんでいた腰痛が消えてしまいました。これはモニター診療の思いがけない効用でした。

このようにモニター診療に取り組むことで、歯科医師の肉体的な負担を軽減できるのは大きなメリットと言えるでしょう。

 

著者プロフィール

口腔内カメラ教育センター
代表 藤江英宏(ふじえひでひろ)

口腔内カメラを使った「モニター診療」は、口の中を撮影し、その数倍~20倍の映像を見ながら治療をする方法で、2002年に私自身が考案した新しい治療方法です。